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venus1

2014_05/18 updated

こぶりの良さ

愛用していた急須の口が欠けてしまったので、探し歩いていたところ、
大人数の集まりにも対応出来そうなおおぶりの素敵な急須に出会えたので、
手にとって蓋のしまり具合などを吟味していたら、紳士(店員さん)が走り寄ってきて、
「あー、それはだめです!」と取り上げられてしまいました。
「お茶はね、こんな大きな急須で淹れたら美味しくないのです。」と。
そして、
珈琲もお茶も、嗜むもので、大量に飲む類のものではない。
大量に飲みたくなるのは、味に不満がある時。
美味しく淹れれば、少量で満足出来るはず。
などと、語る、語る!
その上、大きな急須と小さな急須の両方で、同じお茶の葉、同じ温度で淹れて下さった。
なるほど、確かにこぶりの急須のお茶の方が、ずっと美味でした。

そのお茶を頂きながら思い出したのは、先月訪れた遠山郷のこと。

遠山

私が愛してやまない叔父伯母が住んでいる、
山があって、川があって、そして、人情味溢れる過疎村なのですが、
その村の素敵さと、小さな急須で淹れた美味しいお茶の味が見事に重なったのです。


正直、若い頃は「どうしておじさんおばさんは、東京に出てこないのだろう?」と思っていました。
特に、前向きで明るく賢く働き者で愛情深い伯母(残念ながら私とは血が繋がってないのですが)に対して、
「こんな小さな村に置いておくのは勿体ない!
叔母さんなら、スーパーキャリアウーマンになって、世界を舞台に活躍出来そうなのになぁ」と。
でも、先日訪れた時、山を愛で、花木を愛で、隣人を愛し、隣人達から慕われ、ささやかな幸せをすくい上げ、
面倒がらずに何でも一所懸命やっている叔父伯母の姿を見て、
「この村に残ってくれてよかったなぁ、
豊かな暮らしって、こういうことだよ!」と思いました。

小さな村での暮らしは、無い無い尽くしでとても大変そうですが、
でも、だからこそ、自分の力を発揮し、皆と助け合い、いきいき豊かに暮らせているような気がします。
こぶりの急須の美味しさも、それと同じで、
面倒がらず、愛情をかけて、最後の一滴まで大切に絞って淹れるから美味しいのかもしれません。

そうだった、大量作成出来る合理的な方法からは、美味しいものも良いものも生まれないのだった。
叔父さん叔母さん、そして、紳士な店員さん、そこに気付かせてくれてありがとう。
ラクに流れず、美味しいを追求し続ける心を持ち続け、
内から良さ・旨さを引き出す工夫、
そして、いつでもどこでも美味しく淹れられる技術と知識を身に着け、
適量をわきまえて、生きていかなくちゃです。


遠山郷でのコンサートの模様は、俊輔君がmilly la foret blogに書いてくれたので、
ぜひそちらをお読み下さいませ。
http://millylaforet.com/journal/?p=376
かぐらの湯のスタッフさん達、桜を守る会の皆さん、親戚のおじさんおばさん、
小さい頃よく遊んでくれたちいちゃん、遠路遥々来て下さった方々、
エアーキーボードを弾きながら嬉しそうに楽しそうに見てくれた母、姉夫妻、
足を引き摺りながら山を下りてきてくれたおじいちゃんおばあちゃん達、
面白くて優しい「島畑」の大将&スタッフの皆さん、本当にありがとうございました。


お茶といえば、叔父伯母の家の玄関脇に、近所の方達が集まって
いつもお茶会をしているのだろうなぁと思える部屋があったのですが、
そこがとても居心地良く、結局、私達はずっとそこに居座っていました。
実は、大好きな鎌倉の画廊にも、陶芸家の山本安朗さんのアトリエにも、
そういう居心地の良い部屋があるので、無性に行きたくなる時があるのですが、
たぶん、我が家のスタジオ脇の部屋(リビングですけれど)も
だいぶ居心地が良いのではないかと自負しています。
用事がなくても、人と顔を合わせて「このお菓子、美味しいねぇ。」などと会話をするなかから、
うーん、言葉では上手く説明出来ないのですが、、、
まあるい空気のようなもの、と言ったらいいのかなぁ、、、
とにかく良い空気が生まれるような気がしているので、
そういう環境を作ることを大切にしているからです。

音楽の方でも、そういう場を作っていくことを、私のライフワークにしているのですが、
その一つ、ノンキー青空市の第6回目を今夏8月3日(日)に開催します!
今回も、私の「この指止まれ!」につかまって下さった皆さん、本当にありがとうございます。
皆さんの御支援のおかげで続けてこられたイベントを、こぶりな急須で淹れるお茶のように、
ささやかでも満足度の高いイベントにしたいと思い、今から武者震いしているところです。

今回は、「運営に関わらせて下さい」と言って貰ったり、
最初は見にきて、次はお手伝いに立候補し、ついに今回「ステージに立つ」ことになった方々が居てくれたり、
「こんなふうにしたらどうだろう?」という提案も頂けて、
育ててきた木の花の蕾が膨らんできた時のような嬉しさも感じています。
きっときっと温かい良い空気が生まれるイベントになると思いますので、どうぞ楽しみにしていて下さい。
詳細は、こちらで発信していきますね。
まずは、日時・場所・出演者が発表されております。
ノンキー青空市6

それから、milly la foret が、私達が敬愛している陶芸家の山本安朗さんの個展で演奏させて頂くことになりました。
手間と愛と忍耐力を惜しまず身体を張って作った器は、優しさと強さが同居していて、いつも励まされています。
その素敵な器の前で演奏させて頂けるなんて、大変光栄です。
ぜひぜひ器と生け花と我々のミニライブを観にお出で下さいませ。

2014年6月8日(日)milly la foret・ライブは18:00頃から
@蔦サロン(港区南青山5丁目11−20) 表参道から徒歩5分
入場無料

*蔦サロンは、日本武道館や京都タワーを手がけた建築家・山田守邸。
レトロかつ個性的な建物見物も楽しいと思います。
(その後の宴に参加される方は、飲み物か食べ物をひとしなお持ち下さいとのことです)
場所は青山学院大学の東側アイビー通り沿い、青学会館の真ん前辺りです。

山本安朗展

案内ハガキ





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