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1999/3_24(セントポール寺院〜大英博物館)

St.Paul's Cathedral

我が家のメンバーの共通点は、好奇心が強いこと。
小学校入学の時に買ってもらった四角いふで箱のふわふわ部分をすぐに切り裂いてしまったり(中身はスポンジでがっかり)、
家中の機械のネジというネジを全部開けたり、「科学」の付録の薬品をでたらめに混ぜ合わせて爆発させたり、
野次馬なんかも勿論得意です。
そんな私達が、ガイドさんに「セントポールの五百数十段の階段を登れば、神様のプレゼントがあります。」
と言われたら行かずにはいられません。
本当は、今日は『アカデミック・デー』と称して博物館、美術館廻りをするはずだったのですが、
「行くよね、セントポール?」「うん。」と、あうんの呼吸で先ずはセントポールに向けて出発しました。

地下鉄の1日乗車券を買って改札を通ろうとすると、娘のパスが不良品で通れません。
仕方がないので、改札のたびに係員にお願いして通してもらうことになりました。
最初は緊張して嫌がっていた娘も、1日中やっていたので、最後にはすっかり板につき愛想なんかもふりまいていました。
何が幸いするかわかりませんね。

さて、階段は狭く、長く、どこまでも続き、らせん状で、混んでいました。
登り始めてから、私は閉所恐怖症だったことを思い出しました。気が付くのがちょっと遅かった。
もう引き返せそうになかったので、仕方なく頑張りました。地獄でした。
足がパンパンになった頃、やっと平らで広々とした場所に辿り着きました。
でも、ホッとしたとたん、ゾッとする光景が目に飛び込んできたのです。
そこは、チャペルの椅子が米粒くらいに見える天井の通路だったのです。
私は、高所恐怖症だったことも忘れていました。どうしよう。
でも、ここで引き返したら『負け』を認めてしまうことになるので悔しいな。
仕方がない、「こうなったら絶対プレゼントをみてやる。」と心を決め、また登り始めました。
閉所・高所恐怖症よりも勝ってしまう私の好奇心って、やっぱり半端じゃないと思う。
それからは、無心でした。よく覚えていません。覚えているのは、とにかく大変だったことと、
頂上で神様のプレゼントを見ることができたことです。

 

上の写真が、そのプレゼントです。
「なあんだ、ランドマークからの眺めの方がずっといいよ。」
という声が聞こえてきそうですが、
いえいえ、あのときは世界中で一番素敵な景色に思えたのですよ。
やっぱり、苦労してコツコツと階段を上がって行くことは素晴らしいことです。
エレベーターですうっと登った時に見た景色なんて比べ物になりません!
目に映る景色は同じでも、感じ方が違います。
「人生は階段で行こう!」と思わずつぶやいてしまいました。

それから、この写真ではちょっとわかりにくいのですが、
地平線が丘になっていますよね。
ロンドンは、東京の眺めと違って地面−しかも緑の丘−
が見えるのがいいですね。
 夕方のミサで、有名なSt.Paul's Choir(聖歌隊)を聴けることもわかり、
楽しみが増えました。神様のプレゼントのおまけかもしれません。

The British Museums

来年は、ついに西暦2000年です。
キリスト教では大きな節目らしく、ロンドンは2000年を迎えるためにそこら中が工事中でした。
大英博物館も御多分にもれず大工事中だったので、お目当てのエジプト展示室が閉鎖されていてとても残念でした。
でもそこは英国の誇る博物館、見ても見ても次々と魅力的な展示物が現れる。本当に、凄い。凄い。一週間通いたかった。

私のお気に入りは、工芸品です。ことに訴えかけてくる世界の陶芸作品の多さには本当に感動しました。
その作品ひとつひとつの背景に、いろんな歴史があって、いろんな人生があって、いろんな環境があって、
いろんな文化があったことなどが見て取れました。日用品のはずの茶碗が、芸術品になっていくって、とても素敵なことだと思います。

料理が美味しそうに見えて、実際に美味しく食べられる温度や湿度やらを加減できて、
その食器がテーブルに並ぶと、なぜかりんとした空気が漂って背筋が伸びる。
食べ終わって何も入っていない状態でも様になり、持った時の感触がよく、重みが丁度よく、温もりが感じられる。
家の調度品とマッチして、派手すぎず控えめでもなく、お手入れがしやすい。
うーん、そんなお茶碗を私もいつか作りたいな。西暦3000年くらいに掘り起こされて、この博物館に飾られて・・
と想像して、にやにや。そうなんです、ここは大きい夢が平気で見られてしまう不思議な空間なのです。
なぜでしょう?とにかく何もかも、スケールが大きいせいでしょうか。
昔、ありましたよね「大物を育てたいなら、天井を高くしよう。」というCM。
確かにウサギ小屋でちまちま生活していると、すべてのダイナミックレンジが狭くなってしまいますよね。
夢を見る時は大英博物館に、リコーダーの音が小さくなってきたら広い部屋に、くよくよしたら広大な牧場に行こうっと!

さて娘は、大英博物館に関してかなり調べていったようです。
けれど、彼女がその中でも一番行きたかった「The King's Library」が見当たらないのです。
どうやら、それは「The British Library」として去年独立したらしいのです。
まだまだ見たい所がたくさんあって後ろ髪をひかれましたが、娘の悲願の「The British Library」へと向かうことにしました。
そこがまた凄かった。宝箱だったのです。