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 16.March.2002

バントリー 〜 ベア・アイランド 〜 ケンメア(1)

今日は、ベア・アイランドという、人口200人の島を訪れます。
ジョン(ウニおじさん)が、アワビの養殖工場を経営するジャックの所へ連れていってくれるのです。

ジョンと待ち合わせをしたホテルの前にいたら、
それはそれは大きくて綺麗な虹と、絵本から抜け出てきたようなおじさんに遭遇しました。
バントリーは、おとぎの国?! ふと、浮世を忘れてしまうようなところでした。

 
帽子のシャムロックにチェック・オン・チェック! チャーミングでしょ?

そのおじさんが、「グッドモーニング!」と話しかけてきてくれたので、
「一緒に写真を・・」とお願いすると、手前の車の存在を気にして、
「この車を退けてから、撮りましょう。」と、しきりに訴えてきました。
やっぱり、こだわりを持って生きていらっしゃるのね!
撮影後、取りたてのシャムロックをプレゼントしてくれたのも、頷けました。

これが、アイルランド国花のシャムロック

■■

さて、11時発のフェリーを目指し、またまた恐怖の高速運転!
前を走るジョンの車の速さは、アクセルを床まで踏んでも、追いつかないくらい。
気合いを入れて運転していたにもかかわらず、ジョンの車が、あっという間に小さくなってしまいました。
「スピードが出ないよ。おかしいなぁ。」と夫が言ったその時、「バン」という爆音・・
「ん?」「何の音?」
それは、なんと、タイヤがバーストした音でした。

その時は、よく状況がわからなかったので、道路脇に車を停め、
「フェリーに乗り遅れては大変」と、淡々とタイヤ交換を開始したのですが、
タイヤとホイールがバラバラになっていたので、言葉を失いました。
さらに、ジョンと愛介さんが真っ青な顔で引き返してきて惨状を目の前にし、
「100km/h以上で走っていたのに、無事で何よりだった。よかった、よかった。」
と何度も言って下さったので、やっと事の重大さを認識し、ブルブルブル・・


冷や汗も脂汗も出てきましたよ〜。

で、冷静になったところで他のタイヤもチェックしてみると、
明日、バーストしておかしくないな・・というタイヤばかり。
でも、レンタカー屋さんを責める気持ちにはなれませんでした。
だって、ジョンの車にも、他の人の車にも、同等かそれ以下のタイヤしか付いていないのだもの。
「当たり前」「普通」の基準が、新品ばかり持っている私達とは違うのよね、きっと。
そういえば、アイルランド人は、とても質素だなぁと随所で感じていました。

まぁ、命があったから、こんな悠長なことを言えるのですが、
日本の(都会の)人々が、厳しく神経質なのは、
高い水準の生活、贅沢を望み、その為に一生懸命頑張っているからなのかも。
だとしたら、生活のレベルを落とせば、寛容な態度を取るようになるのかなぁ?
それなら、少々大変な思いをしても、その方がいいなぁ。

さて、「フェリーに乗り遅れるから先に行ってください。」とジョンに懇願すると、
「大丈夫。今、電話をして、30分待ってもらうことにしたから。」ですって。
むむ?アイルランドで電車や船や飛行機が遅れるのは、そういうことからだったのね。
これも賛否両論でしょうが、私も、そんな風に待ってあげたいと思うし、
そんなふうに待っていて欲しいなぁと思いました。
私のペースは、アイルランド人のペースに近いのかもしれません。

タイヤ・バーストの件では、色々と考えさせられることが多かったです。

■■

ベア・アイランドは、のどかで、美しく、何もない島でした。
聞けば、日本人が島を訪れたのは、初めてとのこと!
アイルランドの田舎は、どこへ行っても200度以上のパノラマでしたが、
この島の頂上の景色はまた格別で、360度パノラマでした。
「ヒャォ〜!」とだけ言って、皆、黙ってしまったくらい、感動的な景色でした。


こうやって、牛も道路を歩いてきますが、とにかくマイペース・・

まず、島にあるジャックのアワビ工場を見せて頂いたのですが、
そこで、またまたカルチャーショック!
汲み上げた海水を原始的な方法で水槽に溜め、
海から海草を取ってきて、それを餌に育てているのですが、
一年かかって、やっと1mmのアワビが2.5cmくらいに成長するだけなのですよ。
なんと気長なこと!
そういえば、野菜も時間をたっぷりかけて育てる有機栽培だそうで、
のんびりのんきな人種ならでは・・の栽培、飼育ですよね。
クレバーなイギリス人から迫害をこうむるわけです。

で、その貴重なアワビを、試食させて頂きました。
水槽の中から取ったものを、豪快にキャンプ用ナイフで・・。
勿論、ナマです!超美味でした。
後ろで、アワビを食べたことも食べるのを見たこともないというジョンの奥様メアリーが、
「ひぃ〜、ひぃ〜」と叫んでいました。
恐るべし、東洋の食いしん坊達!
気の毒なことをしてしまいました・・

そして、その後、ジャックのお宅で、
メアリーお手製のトラディショナルアイリッシュ料理をご馳走になりました。
茹でただけ、蒸しただけ、スモークしただけ・・
実にシンプルな料理法なのに、とっても美味しかったです。
素材が良いからこそ、ですよね。


ジョン(左)とジャック。大昔から仲良しの二人の初の2ショット!

「夏には、綺麗に花が咲き揃って美しい島になるから、またおいで。」
としきりに言って下さるので、
「夏に、何かフェスティバルをやったらどう?」
と愛介さんが提案すると、「そんなことしたら、10月まで眠れない・・」とジャック。
やる気がないのか、のんびりを心から愛しているのか、
とにかく、私達の一ヶ月が、彼らの一年分に当たるということがよく分かりました。

■■

その後、フェリーで本島に戻り、タイヤ屋さんへ。
人々がバーストタイヤのまわりに集まってきて、
昔からの知り合いのように、あーだこーだ聞いてきます。
「あそこのね、カーブを曲がったところで、炸裂したのよ。」
なんて説明していると、私もこの町の住民になったような気分になりました。
予想外の買い物・・スペアタイアを購入。

■■

夕方、ジョンとマーフィーさんにお別れをし、バントリーからケンメアへ。
この世の果てのような、岩だらけで植物が一本も生えていない山の道・・
なのに、羊がそこら中にいるのです。かなり不気味な道でした。
愛介さんが、気を遣って「今晩は、自力でセッション出来るパブを探そうね!」
と明るく提案して下さったので、すぐに楽しい気分に戻ることが出来ましたが、
自力でパブ探し・・
それは、それは、大変なことでした。